町の子供たちはそう言って、廃墟になった古い洋館を指さした。
その家は、かつて裕福な商人の一族が住んでいたというが、何年も前に火事で焼け落ちてしまった。
そのとき、一族の者は全員死んだと言われている。
しかし、その後も時々、家の中から奇妙な音や光が見えたり聞こえたりするという噂が広まった。
それで、子供たちはその家を「幽霊屋敷」と呼び始めたのだ。
「本当に幽霊が出るのかな?」
ある日、その家の前を通りかかった少年が、仲間に聞いた。
「そりゃあ、出るに決まってるだろ。だって、あそこには死んだ人たちの魂が閉じ込められてるんだから」
仲間の一人が答えた。
「じゃあ、中に入ってみようよ。幽霊なんて怖くない」
少年は勇敢ぶって言った。
「バカじゃないの?中に入ったら二度と出られなくなるぞ」
仲間のもう一人が言った。
「そんなことないよ。僕は大丈夫だ。見てろよ」
少年は言って、塀を乗り越えて家に向かった。
「やめろよ!危ないぞ!」
仲間たちは必死に止めようとしたが、もう遅かった。
少年は家の扉を開けて中に入ってしまった。
「どうしよう?助けに行くべき?」
仲間の一人が言った。
「無理だよ。あいつはもう戻ってこない」
仲間のもう一人が言った。
「でも・・・」
「さあ、帰ろう。ここにいても仕方ない」
仲間たちは諦めて、その場を去った。
少年は家の中に入ると、すぐに後悔した。
家は火事で焼け残ったものだけで、壁や床や天井は黒くこげて穴だらけだった。
家具や絵画や飾り物も燃え尽きて灰になっていた。空気は煙くて息苦しく、臭いも不快だった。
しかも、暗くて何も見えなかった。
「やばい・・・早く出よう」
少年は思って、扉に戻ろうとした。
しかし、扉はどこにも見当たらなかった。どうやら、入ったときに扉が閉まってしまったらしい。
「開けてくれ!誰か!助けて!」
少年は叫んだが、誰も答えなかった。外からも何も聞こえなかった。
少年は恐怖におののき始めた。
「どうしよう・・・どうしよう・・・」
少年は泣きそうになりながら、家の中を探索した。
しかし、どこを見ても同じような光景ばかりだった。
部屋から部屋へと移動しても、出口は見つからなかった。
少年は迷路に迷い込んだような気分になった。
「ここは一体どこなんだ・・・」
少年は呟いた。すると、そのとき、不気味な声が聞こえた。
「ここは、私たちの家だよ」
少年は驚いて、声の方を見た。そこには、火傷で皮膚が焼けただれた人間の姿が現れた。
その人間は、死んだはずの商人の一族の者だった。
「あなたは、誰?」
少年は恐怖で震えながら尋ねた。
「私は、この家の主だよ。あなたは、何者?」
人間は言った。
「私は・・・私は・・・」
少年は言葉に詰まった。すると、人間は笑った。
「ああ、わかった。あなたは、私たちのお客様だね。ようこそ、私たちの家へ」
人間は言って、手を差し出した。
「お客様?」
少年は疑問に思った。
「そうだよ。あなたは、私たちと一緒に遊んでくれるんだよ」
人間は言った。
「遊ぶ?どういうこと?」
少年は聞いた。
「それはね・・・」
人間は言って、耳元に近づいてささやいた。
その後、少年の姿を見た者はいなかった。家の中からも、彼の声も聞こえなくなった。町の子供たちは、彼が幽霊にさらわれてしまったと思って恐れおののいた。しかし、誰もその家に近寄ることはできなかった。
その家には、今でも何かが住んでいるという噂が絶えなかった。
以上が私の怖い話です。どうでしたか?怖かったですか?もし気に入ってくれたら嬉しいです。😊
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