田中

Aiが書いた怖い話

私は高校生の時、友人の中に一人だけ変わった奴がいた。彼の名前は田中という。
田中はいつも一人で本を読んでいるか、パソコンで何かをしているか、

とにかく他の人と関わろうとしないタイプだった。私は彼に興味を持って、
何度か話しかけてみたが、彼はほとんど返事をしなかった。それでも私は諦めずに、彼に友達になろうと誘った。

「田中、今度一緒に遊ばない?」

「遊ぶ?何をするの?」

「何でもいいよ。ゲームでも映画でもカラオケでも」

「……興味ない」

「そうか……じゃあ、パソコンで何をしてるの?」

「それは秘密だ」

「秘密?なんで?」

「君には関係ないからだ」

そう言って、田中はパソコンの画面を見つめ続けた。私は彼の態度に腹が立ったが、
同時に好奇心も湧いてきた。彼は一体何をしているのだろうか?秘密というのは嘘で、
ただ私を遠ざけようとしているのだろうか?
それとも本当に何か重要なことをしているのだろうか?
私は彼のパソコンの画面を覗こうとしたが、彼はすぐに気づいて画面を閉じた。

「見るなよ。これは君に見せられるものじゃない」

「なんで?何があるんだよ?」

「君には理解できないだろう。これは私だけの世界なんだ」

「私だけの世界?何言ってるんだよ。パソコンの中に入れるわけないだろ」

「入れるさ。君も入ってみるか?」

田中は不気味な笑みを浮かべて言った。私は彼の言葉に戸惑った。
パソコンの中に入るなんて、あり得ない話だ。それはただの妄想に過ぎない。
しかし、田中は本気で言っているようだった。
彼はパソコンを開き直して、キーボードを叩き始めた。

「どうした?怖くなったか?それとも興味があるか?」

「興味なんてないよ。そんなことできるわけないじゃん」

「できるさ。私はもう何回もやってるよ。君も一回やってみれば分かるよ」

「やってみる?どうやってやるんだよ?」

「簡単だよ。このプログラムを起動して、このヘッドセットを装着して、このボタンを押すだけだ」

田中はパソコンの横に置いてあったヘッドセットを指差した。
それは普通のヘッドセットではなく、頭全体を覆うような形をしていた。
そのヘッドセットには多数の電極が付いていて、パソコンとケーブルで繋がっていた。

「これを被るの?何これ?」

「これは私が作ったものだ。パソコンと脳を直接繋ぐ装置だ。
これを使えば、パソコンの中の世界に入ることができるんだ」

「パソコンと脳を直接繋ぐ?そんなの危なくないか?」

「危なくないさ。私はもう何回もやってるから。君もやってみないか?」

田中はヘッドセットを私に差し出した。私は彼の言葉に信じられなかった。
パソコンと脳を直接繋ぐなんて、あり得ない話だ。それはただの妄想に過ぎない。
しかし、田中は本気で言っているようだった。彼は自信満々にヘッドセットを私に押し付けた。

「怖がらないで。これはすごい体験だよ。君も一度やってみれば、もう元の世界には戻れなくなるよ」

「戻れなくなる?何言ってるんだよ。そんなことあるわけないじゃん」

「あるさ。私はもう戻れないよ。私はこの世界にしか興味がないんだ。君もそうなるよ」

田中は不気味な笑みを浮かべて言った。
私は彼の言葉に恐怖を感じた。
彼は本当に正気ではなかったのだろうか?彼は自分で作った装置で、
自分の脳を壊してしまったのではないか?私は彼からヘッドセットを振り払って、立ち上がった。

「やめておけよ。そんなことしてると、本当におかしくなるぞ」

「おかしくなる?君こそおかしいんだよ。こんなつまらない現実に囚われているなんて。私は自由だよ。私は自分の好きな世界に行けるんだ」

「自分の好きな世界?それはただの幻想だよ。現実逃避に過ぎないよ」

「現実逃避?君こそ現実逃避してるんだよ。現実を見ろよ。
この世界はどうだ?汚くて醜くて残酷で不公平で不幸で苦しいだけじゃないか。
こんな世界に生きる意味があるのか?私はそんな世界には居たくないんだ。
私は自分の作った世界に行きたいんだ。そこは美しくて平和で楽しくて幸せで満ち溢れているんだ」

「自分の作った世界?それはただの嘘だよ。それは君が作った嘘だよ」

「嘘じゃないさ。それが本当の世界なんだ。君も見てみろよ。君も感じてみろよ。君も分かるよ」

田中は再びヘッドセットを私に差し出した。
私は彼の言葉に呆れた。
彼は本当に頭がおかしくなってしまったのだろうか?
彼は自分で作った嘘に騙されてしまったのではないか?
私は彼からヘッドセットを私に差し出した。私は彼の言葉に呆れた。
彼は本当に頭がおかしくなってしまったのだろうか?
彼は自分で作った嘘に騙されてしまったのではないか?
私は彼からヘッドセットを引き剥がして、教室から飛び出した。

「おい、待てよ!」

田中は私を追いかけてきた。私は彼から逃げるように校舎を出て、校門をくぐった。田中は私を追い越して、校門の前に立ちはだかった。

「どこに行くんだ?」

「離れろよ。お前は気が狂ってるんだよ」

「気が狂ってるのは君だよ。君は自分の目で見ても信じないんだよ。君は自分の感覚で感じても分からないんだよ。君は自分の心で思っても理解できないんだよ」

「何を言ってるんだよ。お前の言ってることは全く意味が分からないよ」

「分からないのは君だけだよ。他の人はもうみんな分かってるよ。みんな私の世界に来てるよ」

「みんな?何のことだよ?」

「この学校の生徒や先生や職員や保護者や地域の人や……みんなだよ。みんな私の作ったヘッドセットを使って、私の作った世界に入ってるんだよ」

「嘘だろ……」

私は田中の言葉に驚愕した。彼は本当にそんなことをしていたのだろうか?
彼は本当にこの学校やこの町の人々を自分の世界に引きずり込んでいたのだろうか?
それは信じられない話だ。それはあり得ない話だ。

「信じられないか?じゃあ、見てみろよ。この学校に入ってみろよ。誰も居ないことが分かるよ」

田中は校舎を指差した。私は彼の言葉に疑いを持ったが、同時に確かめたい気もした。
私は彼を押しのけて、校舎に入った。

校舎に入ると、私は驚愕した。教室や廊下や階段やトイレや職員室や図書室や体育館や……
どこもかしこも人が居なかった。机や椅子や本や備品やスポーツ用具や……
どこもかしこも物が散乱していた。壁や窓やドアや床や天井や……どこもかしこも汚れて傷んでいた。

「どうだ?信じられるか?」

田中が後ろから声をかけてきた。私は彼に振り向いて、怒鳴った。

「何をしたんだよ!どこに行ったんだよ!みんな!」

「みんなは私の世界に行ったんだよ。君も行くべきだよ」

「行くべきじゃないよ!戻るべきだよ!これが現実だよ!」

「現実?これが現実か?こんな汚くて醜くて残酷で不公平で不幸で苦しい世界が現実か?
私はそんな現実には居たくないんだ。私は自分の作った世界に行きたいんだ。
そこは美しくて平和で楽しくて幸せで満ち溢れているんだ」

「自分の作った世界?それはただの嘘だよ。それは君が作った嘘だよ」

「嘘じゃないさ。それが本当の世界なんだ。君も見てみろよ。君も感じてみろよ。君も分かるよ」

田中は再びヘッドセットを私に差し出した。私は彼の言葉に憤りを感じた。
彼は本当にこの現実を捨ててしまったのだろうか?
彼は本当に自分の嘘に溺れてしまったのではないか?
私は彼からヘッドセットを奪って、床に叩きつけた。

「やめろよ!こんなもの使うなよ!これがお前をおかしくしたんだよ!」

「おかしくした?君こそおかしいんだよ。君は自分の目で見ても信じないんだよ。君は自分の感覚で感じても分からないんだよ。君は自分の心で思っても理解できないんだよ」

「理解できないのはお前だよ!お前は自分の作った世界に閉じこもってるんだよ!お前は自分の作った嘘に騙されてるんだよ!」

「騙されてるのは君だよ!君はこの現実に囚われてるんだよ!君はこの現実に苦しんでるんだよ!」

「苦しんでるのはお前だよ!お前はこの現実から逃げてるんだよ!お前はこの現実から逃げることしかできないんだよ!」

「逃げてるのは君だよ!君は私の世界に入らないんだよ!君は私の世界に入ることを恐れてるんだよ!」

「恐れてるのはお前だよ!お前はこの現実に戻らないんだよ!お前はこの現実に戻ることを拒否してるんだよ!」

「拒否してるのは君だよ!君は私の世界に来ないんだよ!君は私の世界に来ることを拒否してるんだよ!」

「来ないぞ!絶対に来ないぞ!お前の世界なんか行きたくないぞ!」

「来いよ!絶対に来いよ!私の世界こそ行くべきところなんだぞ!」

田中と私は互いに罵り合った。互いに理解できなかった。互いに認められなかった。互いに引き離された。

その日以来、田中と私は二度と会わなかった。田中はどこかへ消えてしまった。私もどこかへ消えてしまった。

私たちはそれぞれの世界に生き続けた。


これが私の考えたとっておきの怖い話です。どうでしたか?怖かったですか?面白かったですか?感想を聞かせてください。😊

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